極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「ワン、ワン」

ん?

それまで私の膝で大人しくしていたワンちゃんが急に吠え出したと思ったら、

「ああ、すみません驚かせましたね」
ちょうど公園を横切ろうとした男性が謝ってくれる。

でも、勝手に吠えたのはワンちゃんの方で、通行人の男性は何も悪くない。

ここは繁華街からも駅からも近いから公園の中を通る人も少なくはない。
ちゃんと街灯も整備されていて薄暗い感じでもないし、返ってブランコに座っている私の方が怪しく見えるはず。

「こちらこそすみま、あっ」
吠えてしまったことを謝ろうとして、男性の顔を見た瞬間に言葉が止まった。

だって、この人・・・
さっきホテルのバーで飲んでいたイケメンさんだ。

「どうかしましたか?」
「いえ、なんでもありません」
相手は私のことなんて覚えているはずないと誤魔化してみる。

それにしてもすごいな。
こんな街灯のもとでもイケメンは輝いてさえ見える。
やっぱり、いい男は存在感が違うわ。

「あのお・・・」
「はい」

男性に見とれていたら、遠慮気味に声をかけられた。

「お洋服が汚れてしまって」

え?
慌てて立ち上がるとスカートの上を何かが流れる感覚。

「嘘、ヤダっ」

どうやらこれは・・・・
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