社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「タンシチューなんですね」

 二人とも、トレーの上にはタンシチューセットが載っていた。

 ひっ、あんた、なに気軽に社長に話しかけてんのっ、という顔を同期たちがする。

 ああ、と将臣が頷いた。

「好きなんだ、ここのタンシチュー。
 これを初めて食べたとき、この会社に来てよかったと思った」

「い……っ」

 八十島と千景は同時に同じ言葉を発しかけ、同時に呑み込んだ。

 いやいや、そんな理由でかっ、と二人とも突っ込みたかったのだ。

 こんなときだけ、二人は気が合った。

「お、おいしいですよね~、確かに」
と千景が不自然でない感じに相槌を打つ。
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