社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
吉峰が一生懸命将臣たちとしゃべっているのを聞きながら、千景は将臣の胸ポケットを見つめていた。
白い猫の毛がそこについていたのだ。
白い猫かあ。
ふかふかなのかな。
妄想の中で、ふかふかの白猫が将臣の腕の中に、すぽっと収まっていた。
……うらやましい。
うちのアパート、ペット飼えないし。
実家はハムスターいるから、猫飼えないし、と思いながら見つめる千景に気づいた将臣が言う。
「……一点を見据えるな。
お前は、いきなりフリーズするハムスターか」
ふう、と八十島が横で溜息をついていた。