社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




「いきなり止まるから冬眠したのかと思ったぞ」
と千景は、将臣に言われる。

 彼の横で、八十島が、そんな莫迦な、という顔をしていた。

 将臣が千景を小動物扱いしているのは最早、間違いない。

 この人は私のことをなんかいつもタクシーに乗ってる小さき生き物、くらいにしか思ってないんだろうな。

 いや、私、結構大きいんですけどね……。

 このままでは、なにやら話しづらいので、千景はみんなに、自分と将臣との関係を当たり障りなく説明することにした。

「私、朝、結構、社長と一緒になるから。
 来る道道、いろいろ社内のお話とかうかがってるの」

 すると、将臣が言う。

「そうだな、朝、よく出会うな。
 新入社員のくせに、重役出勤だからな」

 みんなが、ぷっと笑った。
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