社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
 いや、あなた、最終面接のとき、いましたよ。

 どんだけ私の発言に興味がなかったんですか、と思いながら、千景は言ってみた。

「営業とか」

 みんなの顔に、いや、無理だろ、と書いてある。

「企画とか」

 なんか変なもの開発しそうだぞ、と書いてある。

「秘書とかですかね」

「それは無理だろう……」
と将臣と八十島が同時に言う。

 いやいやいやっ、と千景はポケットの中のメモ帳を出してきた。

 仕事でも使っているものだが。

 一日のスケジュールなども書き込んでいる。

「私、こう見えて、いろいろ整理したり、スケジュール管理したりとか好きなんですよ」

「えっ? 整理したり?」
という声に振り向くと、後ろに武者小路がいた。

 千景のデスクの雑然とした感じを知る彼は、そこに疑問を抱いたようだった。
< 106 / 477 >

この作品をシェア

pagetop