社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「あっ、待ってくださいっ。
 今日は私に払わせてくださいっ」

「黙れ、平社員。
 ここは俺が払うっ」

 ……親切で言ってくださっているのでしょうが。

 黙れ、平社員っ、とか、完全に罵られている感じなんですが……。

 そう思いながらも、とりあえず、タクシーを降り、二人で運転手さんに深々頭を下げる。

「今日もどうにか遅れずにすみそうです。
 ありがとうございます」

「いえいえ。
 お気をつけて。

 さ、急いでください」
と微笑み、運転手さんは去っていった。

「なんか格好いいですね。
 私、タクシードライバーになろうかな」

「……お前、うちの会社に就職したばかりだよな」

 っていうか、走れっ、と急かされた。



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