社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
 千景はあわあわコーヒーを取り落としそうになった。

 千景は、違います、とは言わずに、
「なんで、そう思ったんですか?」
と訊いてみた。

 そこが気になったし。

 万が一、バレても、人にベラベラしゃべる感じの人ではなかったからだ。

「何故かいきなり一緒にセントラルホールに行ってたし。
 あいつの好みそうな顔だから」

「……全然、好みではなさそうですよ。
 っていうか、あいつって?」

「高校と大学の同級生なんだ」

「あ、そうなんですか」

「昔から、目立つ奴で、いつも自信満々に笑ってたな。
 忙しそうで勉強する時間なんてなさそうなのに、成績は常にトップクラスだった」

 そうなんですか?

 私は、いつも自信満々でないところばっかり見ているので、にわかには信じがたいのですが。
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