社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「お前な……」

 すっ、すみませんっ、と謝ったあとで、
「ほんとうに社長とはそんなんじゃないですっ」
と言うと、

「いや別に悪くない組み合わせなんじゃないか?
 俺は気に食わないが、いい奴みたいだぞ。

 ……マザコンだが」

 いや、あなたですか。
 社長にマザコンって言ったのは……と思いながら、

「それと、毎朝、社長と出社してるは間違いです」

 千景は堂々とそう言い切った。

 実際、間違っている。

 毎朝ではないからだ。

 うまく言い逃れたと思ったのだが、武者小路は、ふうん、とこちらを見て言う。

「そうか。
 毎朝じゃないのか」

 そのまま紙コップを手に行ってしまった。

 ……さすが社長のお友だち(?)、一筋縄ではいかないようだ、と千景は思った。



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