社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
なに遠慮してんだ?
という顔で、将臣は千景を見ている。
千景が遠ざかったせいか。
猛ダッシュしていないせいか。
いつもより千景を観察できたらしい将臣が、おや? という感じで千景の靴を見た。
「お前、なかなかいい靴を履いてるな」
手入れもよくしてある、と言う。
千景が履いているのは、シンプルなブラウン系で踵が低めの革のパンプスだった。
「あ、これ。
おじいちゃんが入社祝いに買ってくれたんです。
おじいちゃんの知り合いの職人さんのところで、作ってもらったんですけど」
祖父が買ってくれた靴を褒められて嬉しく、千景は語る。
「ほら、昔からよく言うではないですか。
素敵な靴は素敵な場所に連れていってくれるって。
だから、靴はいい物を履きなさいっておじいちゃんが」
「いいおじいさんだな」
としみじみと言ったあとで、将臣は言う。
「……だが、お前は、その素敵な靴で、毎朝、猛ダッシュしているようだが。
いや、おじいさんはこの事態を見越して、そんなローヒールにしたのか。
いいおじいさんだな」
さっきとは違う意味を込めて、そう言われたとき、地下二階に着いていた。
という顔で、将臣は千景を見ている。
千景が遠ざかったせいか。
猛ダッシュしていないせいか。
いつもより千景を観察できたらしい将臣が、おや? という感じで千景の靴を見た。
「お前、なかなかいい靴を履いてるな」
手入れもよくしてある、と言う。
千景が履いているのは、シンプルなブラウン系で踵が低めの革のパンプスだった。
「あ、これ。
おじいちゃんが入社祝いに買ってくれたんです。
おじいちゃんの知り合いの職人さんのところで、作ってもらったんですけど」
祖父が買ってくれた靴を褒められて嬉しく、千景は語る。
「ほら、昔からよく言うではないですか。
素敵な靴は素敵な場所に連れていってくれるって。
だから、靴はいい物を履きなさいっておじいちゃんが」
「いいおじいさんだな」
としみじみと言ったあとで、将臣は言う。
「……だが、お前は、その素敵な靴で、毎朝、猛ダッシュしているようだが。
いや、おじいさんはこの事態を見越して、そんなローヒールにしたのか。
いいおじいさんだな」
さっきとは違う意味を込めて、そう言われたとき、地下二階に着いていた。