社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「いえ、なんとなく」

 社長が怖がるので、地下探検な気分になっていたからですよ、と千景は思っていた。

 扉を開けたら、ゾンビとかコウモリとか飛び出してくるかもしれないから、装備を整えて、と思ってしまったのだ。

「そういえば、人がいるのなら、ノックするべきかな。
 いや……ここ、倉庫だよな?
 なんで人がいるんだ?」

 一応、ノックしてみたが、返事はない。

 二人はおそるおそる中に入ってみた。

 倉庫の中は廊下より明るかった。

 常に人がいるからだろう。

 奥の方にもっと明るい場所がある、と思ったら、作業着姿の仙人が住んでいた。

 いや、作業着姿の普通のおじさんが住んでいた。

 ……さらに言うなら、住んで、もいないかもしれないのだが。

 そのおじさんは、こちらを見て、
「おや、将臣くんじゃないか。
 大きくなったね。

 遊びに来たのかね」
と言う。
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