社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「……いえ、ここで社長をやっています」

 どんな会話だ、と千景は思ったが、そうかそうか、と仙人なおじさんは微笑み、
「お父さんは元気かね」
と言う。

 マジマジと仙人の顔を見た将臣は、彼に向かい訊いた。

「あ、……せんとさん?」

 そうだ、と将臣は地下倉庫の中を見回す。

「そういえば、子どもの頃、ここに来たことがあるっ。
 確か、うちの父のご友人ですよね?」

 そうそう、と仙人は笑っていった。

「昔、ご両親とこの会社を訪ねてきたとき、君もここにも遊びに来たよね」

 そこで、あれっ? と千景が口を挟む。

「訪ねてきたって。
 社長のお父さんって、この会社の社長じゃなかったんですか?」

「……お前、入社試験の前に自分が受ける会社のこと調べないのか」

 前社長は、うちのおじさんだ、と将臣は言う。

「俺の父親は同じグループのよその会社にいる。
 じいさんが、それぞれが向いてそうな会社に勝手に振り分けるんだ」

 そうだったのか……と思う千景の前で、仙人は懐かしそうに言う。
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