社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「いや~、そうかそうか。
 中学生くらいのときも、君の家で会ったことあるけど。

 ここに来たときは、五歳くらいだったかね?
 お母さんの後ろに恥ずかしそうに隠れてた」

 千景は将臣の方を見た。

 なんとなく見ただけだったのだが、
「だから、マザコンじゃないぞ。
 五歳だろ、五歳っ」
と言われる。

 ……いや、なにも言ってないじゃないですか。

「あの、これ、坂巻さんからお預かりしたメモです」
と千景が手渡すと、ああ、ありがとう、と仙人はそれを受け取る。

「いや~、仕事に集中してると、電話聞こえなくてね。
 ありがとう。
 坂巻さんにもよろしく」

 人当たりのいい笑顔を浮かべる仙人を見ながら、千景は小声で呟いた。

「……すごく普通の感じのいい方なんですか。
 何故、仙人なのでしょう?」
< 60 / 477 >

この作品をシェア

pagetop