社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
 この倉庫にいるからかな? と思ったが、
「なんでも知ってるからじゃないのか?」
と将臣が言う。

「いやいや。
 名前が『せんにん』だからだよ」

 そう笑って仙人は言った。

「仙人って書いて、『せんと』って読むんだ。
 中村仙人(せんと)

 仙人は空中に指先で文字を書くような仕草をした。

 耳で聞いたら普通だが。
 字で見ると、なんかすごい衝撃波を手から出してきたり、雲に乗れたりしそうな名前だな……。

 ありがたい感じがして、拝みたくなる。

 っていうか、社長が交代したのも知らないことからしても。
 やっぱり仙人みたいに浮世離れした人なんだろうな、と千景は思った。



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