社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
次の日、千景は普通に道を歩いていた。
遅刻しそうになかったからだ。
すると、曲がり角から将臣が出てきた。
二人で顔を見合わせる。
「何故歩いてるんですか、社長」
「お前こそ、なに普通に歩いてるんだ」
「いや、遅刻しそうにないので」
そうか、俺もだ、となんとなく並んで歩く。
「あ、でも、一緒に歩いてると、タクシーより目につきそうでまずいですね」
「大丈夫だ。
もう噂になっている」
「それはなにも大丈夫でないような……」