【完結】和菓子職人との恋は、甘いようで甘くない?


 菜々海が付けてくれたそのゆづきという名前も、俺は案外気に入っている。
 今日の売上の半分以上は、ゆづきの売上のだから。名前のおかげというのも、あるのかもな。

「皆さんはもう、帰られたのですね」

「ああ。俺が帰した」

「そうですか。……あまり無理はしないでくださいね、悠月さん」

 心配そうな顔で俺を見つめる菜々海。

「そんな顔するな。無理はしないよ」

「ならいいんですけど……」

 菜々海はそうやって俺を、心配そうに見つめてくる。

「大丈夫だよ。本当に無理はしないから」

「はい。そうしてください」

 菜々海は本当に心配症だな。……まあ一度倒れて看病してもらったことがあるからな。
 またそうなるんじゃないかって心配するのも、無理はないか。

「あの、私も何か手伝いましょうか?」

「いや、いいよ。一人で大丈夫だから」

 菜々海とこれ以上一緒にいると、気が狂いそうになるんだよな……。なんていうか、変になる気がしてる。

「そうですか? じゃあ、また何かあったら言ってください」

「ああ、分かった。ありがとう、菜々海」

 菜々海は本当に心の優しい女だ。さすが角野屋の看板娘だな。
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