デス・チケット
その時、通路の奥から足音が聞こえてきて私とタイセイは動きを止めた。


呼吸まで止めて様子を伺うと、その足音は徐々にこちらへ近づいてきているようなのだ。


足音の数はひとつだけ。


カマ男かもしれない!


そう考えた瞬間全身から血の気が引いてきた。


早く鍵を探し出さないと!


焦れば焦るほとに手元は狂い、タイセイは何度も鍵を落としてしまった。


そのたびに足元で大きな音がしてビクリと体が震える。


そしてようやく、カチャリと鍵が開く音が聞こえたのだ。


2人で思わず目を見交わせてほほえみ合う。


けれど喜びを共有し合う時間だってもう残されてはいない。


足音はどんどんこちらへ近づいてきているのだ。


タイセイは勢いよくドアを開けると「カズトモ!」と声をかけた。


部屋の中央で棒立ちになっているタズトモがゆっくりと顔をこちらへ向ける。


真っ青な顔には生気がなく、私達を見ても反応を示さない。
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