王女の選択
それはそうだろう。
戦っていたと思ったら、突然口づけされ、気づけばその敵の馬にまたがっているのだから。
ジェラルドの腕はしっかりとカーラのおなかの周りに回され、もう片方の手で手綱を握っていた。男の人とこんなに体を密着させたことがないカーラは戸惑いを隠すことができなかった。
「家来達を数日間休ませたい。部屋はあるか?」
耳元に顔を近づけ、低く落ち着いた声で尋ねてきた。
「・・・客・・・客室があります」
耳元に息が当たったことでびくっと反応してしまい、慌てて体を少し前方に倒して体を離そうとしたが、彼の腕が邪魔だった。
「離れると落ちてしまうぞ」
力強い声と共に彼の腕がぐっと引き戻す。
「先ほどいた二人の家来と自分の部屋だけで十分だ。あとの兵士たちは付近で野宿させるが構わないか?」
「仰せの通りに」
敗者にこれ以上何が言えるだろうか。出せるものを全て出せと言われても逆らえないのだ。
ジェラルドはゆっくりと馬を進めていき、その二人の姿を見た兵士達は呆然と自分の剣を下ろしていった。