王女の選択
「ルドルフ殿が戦いにいないということは・・・ケガか?」

突然の質問にカーラは言葉に詰まった。

「其方を戦いに出すほどひどいのか?」

「父は・・・」

言葉を続けたくても、何と説明すればいいのかわからない。
自分の返答次第でジェラルドが優位と考えるかもしれないし、迂闊なことは言えない。カーラは答えず、ジェラルドもそれ以上聞き返すこともないまま、目の前にそびえ立つセルドウィック城へと向かった。

城に行くには町中を通らなければならないが、まるで夜逃げにでもあったかのように、町は物音一つしなかった。時々街角から痩せた野良犬が顔を出す以外、人の姿もまったくなく、扉も窓も完全に閉じられていた。

ジェラルドは約1キロ続く街の大通りをゆっくりと、まるでカーラ達がしでかしたこの状況をしっかりと目に焼きつけておけとでもいうように進んで行った。
キスをされ、敵の軍馬に乗せられ、身動きのできないこの状況は屈辱以外のなにものでもない。
カーラはこの時だけはひっそりとした街並みを逆に有難く感じていた。

あの美しい街並みをこんな風にしてしまった父、そしてその娘である自分が許せなかった。

一体どれだけの日数をかければ元の状態に戻るのだろうか。ジェラルドは時折カーラに質問をしてきたが、カーラははい、いいえ以外には何も言わず、ただ前方にだけ視線を注いだ。

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