王女の選択


ジェラルドはそのまままっすぐにステラの所に行くと、“あのこと”について確認した。

「あと二、三日いただければ完成です」

「そうか。ここまでよく頑張ってくれた」

「お嬢様はいかがですか」

最近カーラの様子を見に行く暇がないステラは気になって仕方がなかった。
ジェラルドはふと数日前のカーラの様子を思い出し、思わず噴き出した。

「カンカンだ」

「じっとしていられる方ではありませんからね・・・」

「でもあと数日したら、外に出られるようになるのだから許してもらうしかないな」

ジェラルドは密かにカーラとの結婚式を準備していた。
ステラがあと数日で準備ができると言っているのだから、そろそろ日にちを確定しなければならない。
アングラードにいる家族も式までに到着するよう手配する必要があるし、やるべきことはまだたくさん残っている。

「ヴィクトー」

大広間に入ってきたヴィクトーを呼ぶと書簡を手渡した。

「アングラードに届けてほしい」

「承知いたしました。ところで面会の件、考えていただけましたか」

「・・・ああ」

「ではルドルフ殿にお話しされたということですね?」

ジェラルドは答えに渋りながらも、まだだと投げやりに答えるとヴィクトーはこれでもかというほど大きなため息をつき、あきれたような顔でジェラルドに問い詰めた。

「会わせたくない気持ちは理解できなくはないですが、カーラ殿がお会いしたいと言っているのです。カーラ殿を牢屋に連れていかれますか?」

「絶対にダメだ」

「なら、ルドルフ殿を連れていくしかないのでは?」

「わかっている」

ジェラルドを今一番悩ませているのがカーラの父、ルドルフだった。
牢屋から出した後のルドルフの処遇をどうすべきかジェラルドは決心しかねていた。

「明日、協定書に署名をすることになっている。その時に話そう」

ジェラルドの言葉に小さく頷いたヴィクトーは今度こそ部屋を出て行った。

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