王女の選択
ジェラルドはカーラの言葉が終わる前にそっと抱き寄せると、よく頑張ったなとでもいうように頭を撫で始めた。
ステラとロイド以外の誰からもそのようなことをされたことがなかったカーラは突然のことにびっくりして体をこわばらせたが、ジェラルドのゆっくりとしたリズムに少しずつ体の力を抜き、気づくと完全に体を預けていた。
敵国の、数時間前まで戦った相手の腕の中でくつろいでいるなんて気が狂っているのかもしれない。
そう頭ではわかっていながらも、体が言うことを聞かなかった。
「私自身は敗れましたが、わが軍が国境付近まで押し戻したのも事実です。どうかあの時中断された交渉を続けさせてください」
「7%と言うなら、交渉は決裂だと言ったはずだ」
ジェラルドは心ここに在らずといった感じで返事を返し、カーラの髪を弄び始めた。カーラは顔を上げ、ジェラルドに訴えた。
「国王の首の代わりとなる代替案をそちらから提示してください」
「・・・代替案はルドルフ殿と直接交渉したい。だからこの話はいったん保留としよう」
「っ!?国王と面会させる気はありません」
「今日面会したいと言っていないだろう。ルドルフ殿が回復されてからでかまわない」
「それまで居座るおつもりですか!?」
「何か問題があるのか。ルドルフ殿に面会の許可を取り次いでおいてくれ」
カーラの両頬に手をそっと当て、救い上げるように顔を仰向かせると、額の上にそっとキスをした。