王女の選択
カーラはリュカの言葉を噛みしめながら、しばらくの間その場に座っていた。
――――もちろんわかっている。
ジェラルドの愛が燦々と自身に注がれ続けていることを。
でもジェラルドから与えられてばかりで、自分が与えられるものは何もない。
ただでさえ忙しいジェラルドにダンスの練習に付き合ってほしいなどそう簡単には言えるはずがない。
結局、誰にも頼むことができずに大広間を使って一人ステップの練習をすることにした。楽器奏者もいないため音楽を口ずさみながら、架空の相手と一緒に何度も同じステップの練習をしていた。
日が高く上ったころ、見えない相手にカーテシーをしたその時、パン、パン、パン・・・とゆっくりとした拍手が聞こえ、振り返るとジェラルドが壁に寄りかかって立っていた。
「ダンスの練習か?」
カーラに近づきながら尋ねたジェラルドは力仕事をしてきたのか、汗ばんだ前髪が後ろに流されており、袖口が捲られた状態のままだった。カーラの前で足を止めると、人差し指の背でカーラの頬をゆっくりと撫でる。
「ずっと一人で練習してたのか」
「だって・・・リュカと踊るなって・・・」
当たり前だとでも言うように鼻を鳴らすと、ゆっくりと左手を差し伸べた。