王女の選択
「それでは一曲お願いできるかな。奥方?」
ジェラルドの柔らかい声につられて、カーラは自分の右手をそっと乗せた。
音楽が無くても二人には関係なかった。
軽やかに、流れるように大広間を横切っていく。
ジェラルドのリードは息をするかのように自然で、カーラに安心をもたらす。
侍従や侍女達も二人の時間を邪魔しないようにとそっと大広間から離れていった。
しばらくしてジェラルドがそっと距離を取ったので、カーラはドレスを摘まみカーテシーをした。
「かなり上達したな」
「本当に?もしお義父様が舞踏会を催しても、恥ずかしくない程度に踊れているかしら」
「そんなことを心配していたのか。嫌なら踊らなければいい」
「そんなことできるはずないでしょう!」
カーラは睨みながら、人差し指をジェラルドの胸元に突き立てて猛反論した。
「あなたやご家族の方に恥をかかせてしまうわ。迎え入れてもらう人間として、やれることはきちんとやりたいの!」
ジェラルドはそんなカーラの苛立ちを物ともせず、チュッと鼻先にキスを落とすとダンスは完璧だが、それ以上に大切なことがあるとカーラの手を取り、階段を上っていった。