空の表紙 −天上のエクレシア−
――暗闇と静寂に森が包まれる
「 あ。 」
アクアスが声を挙げて、
夜空を指差した
ひと粒の流れ星。
―――それは数を増し
星の雨へと変わる
幾万の星粒の下
皆それに見入る
サリュが、ロルカを指差した
「星。」
サリュがノアールを指差した。
サリュがオデッセイを指差した。
「アクアス。」
「ルビナ。」
「星。 みんな星。
わたしがもらった。
みんな星!!」
―― 一斉に、楽器が鳴り響く ――
ファンファーレと共に
わあっと人々が声を挙げた
星のランプが地上を塗って行く
老いも若きも
手に手を取って踊る
ランプをつけ、ルビナも踊る
天地が逆転したかの様に
地上が、星の海になった
サリュがアクアスに抱き着いて
その指し示す方を見ながら
笑っている
ノアールがロルカを伴い
静かに星を見上げ
そしてオデッセイが
ルビナを抱え上げた
「うわあああっ?!」
「好きになったらごめんね
――おまえの事。」
「………ええええ?!」
ルビナの顔が
夜目にも解る位に赤く染まる
「…ルビナ、花屋さんだっけ」
「うん!!」
「花贈れないのか…う〜ん」
「ええっ?!
おっ お花嬉しいよ!
いつも売る方だから!」
「『星』の事、
ずっと気にしてたんだって?
オマエ」
にっこり笑われた。
「んな…!!
アクアスうぅうぅう!!
ばらしたなーーっっ?!」
「うわ?!なんだ!?」
―― 皆、星の波に紛れ
見えなくなる
けれど
その一粒一粒に
皆、名前をつける
そして呼ぶ
その明かりを掴む為に、進んでいく
あの本の表紙に
何も書いていなかったのは
そういう事なんだと
独り思う
そして『表』と『裏』があって
ひとつの『本』なんだと――