神殺しのクロノスタシスⅣ
夢じゃないとしたら、答えは一つ。
これは現実なのだ。
現実…。
俺は、手元の試験用紙を見下ろした。
これが現実?
いやに残酷だな、おい。
目の前の状況を、現実だと認識した途端。
俺は手元の試験用紙と向かい合い。
何故か、今すぐこれを解かなければならない、と思った。
今も昔も、試験なんて大嫌いだったというのに。
さすがにイーニシュフェルト魔導学院に在学中の頃は、渋々ながら試験も受けていたが。
卒業した今は、自ら試験なんか受けなくても良いはずなのに。
俺は、シャーペンを持った手を動かし始め…ようとしたが。
「…」
思わず、げっ、という言葉を飲み込んだ。
…問題文が、理解不能。
答えが分からないんじゃない。まず、問題文からして理解出来ない。
何だこの数式。
カッコの中に記号とか入ってて、もう顔文字にしか見えない。
何だこれ?数学の問題なのか?
魔導理論の試験なら、まだ取っつきやすいけど。
それは俺が魔導学校を卒業したからであって、一般の高等教育は受けていない。
よって、こんな顔文字じみた数式の解き方なんて、さっぱり分からない。
ど、どうするんだよこれ…。
せめて一問でも分からないか、と試験用紙をぺらぺら捲ってみたが。
途中、なんかもう、折れ線グラフを突き破ったみたいな図が出てきて、俺の心も折れそう。
数学の癖に、最早数字より記号の方が多い。
どうしたら良いんだ。全部へのへのもへじ書いて提出して良いかな?
そもそも、こんなの理解出来る人間がいるのか、と思ったが。
周囲の様子をこっそり窺うと、皆カリカリとシャーペンを動かし、問題を解いている。
こいつら全員、頭どうかしてやがる。
理解出来てないの、俺だけかよ。
受験のとき、自分の周囲にいる人間は絶対に自分より頭が良いと思い込む、あの独特の現象が起きてる。
眼鏡かけてて、いかにもインテリっぽい奴は、当然自分より頭良いと思い込むし。
何なら一見チャラそうで、全然勉強出来なさそうな奴でも。
こういう奴に限って、頭良かったりするんだよ。
分かる?分かるかこの気持ち。
とりあえず、この教室にいる人が、全員俺より頭が良いことは確定している。
で、俺はどうしたら良いんだ?
問題文すら理解出来ていないが、でも解答用紙を白紙で提出するのは、何だか悔しい。
くそっ、これが選択問題だったなら、分からなくても全部「ア」にして、何問かは正解出来るのに。
残念ながら全部穴埋め問題なので、自分で何か考えなければならない。
こうなったら、解答全部、1にしてやる。
数学の問題だったら、どれか一問くらいは、キリ良く解答が1だったりするんだよ。
多分。そういうことにしておこう。
ぐずぐずしてても仕方ないし。
俺は意を決して、シャーペンを手に、解答用紙に向き直った。
…そのとき。
俺の身に、不思議なことが起きた。
これは現実なのだ。
現実…。
俺は、手元の試験用紙を見下ろした。
これが現実?
いやに残酷だな、おい。
目の前の状況を、現実だと認識した途端。
俺は手元の試験用紙と向かい合い。
何故か、今すぐこれを解かなければならない、と思った。
今も昔も、試験なんて大嫌いだったというのに。
さすがにイーニシュフェルト魔導学院に在学中の頃は、渋々ながら試験も受けていたが。
卒業した今は、自ら試験なんか受けなくても良いはずなのに。
俺は、シャーペンを持った手を動かし始め…ようとしたが。
「…」
思わず、げっ、という言葉を飲み込んだ。
…問題文が、理解不能。
答えが分からないんじゃない。まず、問題文からして理解出来ない。
何だこの数式。
カッコの中に記号とか入ってて、もう顔文字にしか見えない。
何だこれ?数学の問題なのか?
魔導理論の試験なら、まだ取っつきやすいけど。
それは俺が魔導学校を卒業したからであって、一般の高等教育は受けていない。
よって、こんな顔文字じみた数式の解き方なんて、さっぱり分からない。
ど、どうするんだよこれ…。
せめて一問でも分からないか、と試験用紙をぺらぺら捲ってみたが。
途中、なんかもう、折れ線グラフを突き破ったみたいな図が出てきて、俺の心も折れそう。
数学の癖に、最早数字より記号の方が多い。
どうしたら良いんだ。全部へのへのもへじ書いて提出して良いかな?
そもそも、こんなの理解出来る人間がいるのか、と思ったが。
周囲の様子をこっそり窺うと、皆カリカリとシャーペンを動かし、問題を解いている。
こいつら全員、頭どうかしてやがる。
理解出来てないの、俺だけかよ。
受験のとき、自分の周囲にいる人間は絶対に自分より頭が良いと思い込む、あの独特の現象が起きてる。
眼鏡かけてて、いかにもインテリっぽい奴は、当然自分より頭良いと思い込むし。
何なら一見チャラそうで、全然勉強出来なさそうな奴でも。
こういう奴に限って、頭良かったりするんだよ。
分かる?分かるかこの気持ち。
とりあえず、この教室にいる人が、全員俺より頭が良いことは確定している。
で、俺はどうしたら良いんだ?
問題文すら理解出来ていないが、でも解答用紙を白紙で提出するのは、何だか悔しい。
くそっ、これが選択問題だったなら、分からなくても全部「ア」にして、何問かは正解出来るのに。
残念ながら全部穴埋め問題なので、自分で何か考えなければならない。
こうなったら、解答全部、1にしてやる。
数学の問題だったら、どれか一問くらいは、キリ良く解答が1だったりするんだよ。
多分。そういうことにしておこう。
ぐずぐずしてても仕方ないし。
俺は意を決して、シャーペンを手に、解答用紙に向き直った。
…そのとき。
俺の身に、不思議なことが起きた。