神殺しのクロノスタシスⅣ
無責任…か。

私にぴったりの言葉だな。

「どういったところが、無責任だと思われるのですか?」

「そりゃ勿論、自分の役目を放棄したことだろ」

…。

「一度そうすると決めたなら、何が何でもやり通すくらいの意気じゃないと。ちょっと揺らされただけでブレるなら、そもそもあんな大役、引き受けなきゃ良かった」

大正論だ。

何も言い返せない。

「出来ないことを、胸張って引き受けるなんて馬鹿げてる。死んでった奴らが不憫だな」

「そうですね」

「自分だってイーニシュフェルトの里の賢者だったんだから、神を滅ぼす使命の重大さは、よく分かってるはずだろ。それをあいつは、あろうことか途中で投げ出しやがった」

「はい、その通りです」

「これが別の奴なら、きっとあいつみたいに、無責任に放り出すようなことはしなかっただろう。里の人々は、死んでも死に切れないだろうな」

…。

「おまけに、あれだけの犠牲を強いて故郷の人間を死なせておきながら、その土地の上に学院なんか建てて、へらへら笑ってられる…。その神経が、俺には信じられないね」

…。

「死んだ奴らに、少しでも申し訳ないとは思わないのか?図太いにも程がある。あいつが、いかに死者のことを考えてないかがよく分かる」

「そうですね。普通なら、自分が殺したも同然の人々の血が流された、その土地で…何事もなかったかのように笑って暮らすなんて、有り得ないですよね」

「まともな神経してならな。だからシルナ・エインリーは、まともじゃないんだよ。狂ってるんだ」

…。

「同じ時代を生きた者としては、あいつの無神経さは信じられない。死者への弔いも何も、あったもんじゃない」

…。

「あいつは死者を見なかったことにしたばかりか、その死者に唾を吐いて、愚弄してるんだ。自分だけのうのうと生き残って、何の責任も果たさず…」

…。

「つくづく、イーニシュフェルトの里の連中が気の毒でならないよ」

「そうですか。貴重なご意見、ありがとうございます、ジュリスさん」

羽久もどきは、そう言ってジュリス君もどきに一礼した。

そして、次に出てきたのは。

「本日は更に、シルナ・エインリーが築いた裏切りの象徴、イーニシュフェルト魔導学院の教員の皆さんにお越し頂いております」

…来たか。

来ると思ってたよ。

ここまでやれば、もうオールスター全集結しないと、逆に不審だ。

舞台の上に、イレースちゃん、天音君、ナジュ君の三人が現れた。
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