神殺しのクロノスタシスⅣ
まず語り始めたのは、無闇君だった。
「俺は…俺には役目があった。『死火』を守るという役目が」
…。
「俺は、ルーデュニア聖王国に恩はなかったはずだ。それなのに、何故今シルナ・エインリーの配下につけられているのか?それは言葉巧みに、奴が俺を手元に置くよう扇動したからだ」
「そうなんですね。でもシルナ・エインリーはどうして、そこまでして無闇さんを手元に置きたかったんでしょう?」
「それは俺の持つ『死火』が、神殺しの魔法とも言われるほど、強力な魔導書だったからだ」
…。
「少しでも、自分に敵対するかもしれない…対抗出来るかもしれない力は、他人に渡したくないんだ、あの男は」
「成程。邪神を守るなんて馬鹿げたことをしているシルナ・エインリーにとって、神殺しの魔法と噂される『死火』は、脅威以外の何物でもありませんからね」
「そうだ。だから俺を見つけるなり、恩着せがましくすり寄ってきたんだ。そして、強引に手下に引き入れた」
「これが、シルナ・エインリーの常套手段ですね」
…。
「そもそも奴は、『死火』が神殺しの魔法などではないことも、知っていたんだ」
「そうなんですか?」
「あぁ。それなのに、『死火』を持つ俺を手駒に加えたのは、『死火』を自分の管理下に置きたかったからだ」
「知っていながら黙っていたなんて…。最早確信犯ですね」
「そうだ。奴はそういう人間なんだ」
…。
「では次に、ベリクリーデさん」
「うん」
「あなたもまた、シルナ・エインリーによって人生を狂わされた一人だそうですが」
「そうだよ。私の存在そのものが、あの人のせいなんだもん」
…。
…それは間違ってないね。
「あの人は、聖なる神が怖いんだよ。自分達を脅かす存在の筆頭だから。私の中にいる神様が暴れ出さないか、ずっと警戒してるの」
…。
「だから『聖宝具』を使って、私の中に神様を封じてるの。罰当たりだよね。人間でありながら、神を封じるなんてこと。許されるはずがない」
…。
「おまけに私は、邪神を守りたいあの人にとっては、完全に敵だから。今は優しい振りをしてても、私の中の神様が目覚めたら、どうなるか…」
「そのとき、あなたはどうなるのでしょう?」
「分からない。きっと、背中から撃たれるんだと思う。あの人は私より、邪神の方がずっと大切なんだから。私を守るはずないよね」
…。
「お陰で私は、いつも怯えながら過ごしてるの。今は優しい顔をしてても、いつ手のひらを返して、罠に嵌められるか…分かったものじゃないから」
「確かに…シルナ・エインリーなら、やりかねませんね」
「うん、そうでしょ」
…。
…そうだね。
私なら、やりかねないかもね。
そして。
「お次に紹介しますのは、ヴァルシーナさんと同じく、シルナ・エインリーがイーニシュフェルトの里にいた頃から彼のことを知っている、数少ない人物の一人…ジュリス・レティーナさんです」
「どうも」
と、ジュリス君…もどきが、マイクを持って頭を下げた。
「あの時代から生きている人は、本当に珍しいですから。あなたの証言は、とても貴重なものです」
「そうか。そりゃどうも」
「それで、あなたから見て、シルナ・エインリーはどんな人間でしょうか?」
「そうだな…一言で言うなら、無責任な人間だな」
ジュリス君もどきは、そう一喝した。
「俺は…俺には役目があった。『死火』を守るという役目が」
…。
「俺は、ルーデュニア聖王国に恩はなかったはずだ。それなのに、何故今シルナ・エインリーの配下につけられているのか?それは言葉巧みに、奴が俺を手元に置くよう扇動したからだ」
「そうなんですね。でもシルナ・エインリーはどうして、そこまでして無闇さんを手元に置きたかったんでしょう?」
「それは俺の持つ『死火』が、神殺しの魔法とも言われるほど、強力な魔導書だったからだ」
…。
「少しでも、自分に敵対するかもしれない…対抗出来るかもしれない力は、他人に渡したくないんだ、あの男は」
「成程。邪神を守るなんて馬鹿げたことをしているシルナ・エインリーにとって、神殺しの魔法と噂される『死火』は、脅威以外の何物でもありませんからね」
「そうだ。だから俺を見つけるなり、恩着せがましくすり寄ってきたんだ。そして、強引に手下に引き入れた」
「これが、シルナ・エインリーの常套手段ですね」
…。
「そもそも奴は、『死火』が神殺しの魔法などではないことも、知っていたんだ」
「そうなんですか?」
「あぁ。それなのに、『死火』を持つ俺を手駒に加えたのは、『死火』を自分の管理下に置きたかったからだ」
「知っていながら黙っていたなんて…。最早確信犯ですね」
「そうだ。奴はそういう人間なんだ」
…。
「では次に、ベリクリーデさん」
「うん」
「あなたもまた、シルナ・エインリーによって人生を狂わされた一人だそうですが」
「そうだよ。私の存在そのものが、あの人のせいなんだもん」
…。
…それは間違ってないね。
「あの人は、聖なる神が怖いんだよ。自分達を脅かす存在の筆頭だから。私の中にいる神様が暴れ出さないか、ずっと警戒してるの」
…。
「だから『聖宝具』を使って、私の中に神様を封じてるの。罰当たりだよね。人間でありながら、神を封じるなんてこと。許されるはずがない」
…。
「おまけに私は、邪神を守りたいあの人にとっては、完全に敵だから。今は優しい振りをしてても、私の中の神様が目覚めたら、どうなるか…」
「そのとき、あなたはどうなるのでしょう?」
「分からない。きっと、背中から撃たれるんだと思う。あの人は私より、邪神の方がずっと大切なんだから。私を守るはずないよね」
…。
「お陰で私は、いつも怯えながら過ごしてるの。今は優しい顔をしてても、いつ手のひらを返して、罠に嵌められるか…分かったものじゃないから」
「確かに…シルナ・エインリーなら、やりかねませんね」
「うん、そうでしょ」
…。
…そうだね。
私なら、やりかねないかもね。
そして。
「お次に紹介しますのは、ヴァルシーナさんと同じく、シルナ・エインリーがイーニシュフェルトの里にいた頃から彼のことを知っている、数少ない人物の一人…ジュリス・レティーナさんです」
「どうも」
と、ジュリス君…もどきが、マイクを持って頭を下げた。
「あの時代から生きている人は、本当に珍しいですから。あなたの証言は、とても貴重なものです」
「そうか。そりゃどうも」
「それで、あなたから見て、シルナ・エインリーはどんな人間でしょうか?」
「そうだな…一言で言うなら、無責任な人間だな」
ジュリス君もどきは、そう一喝した。