神殺しのクロノスタシスⅣ
「む、無理だ、そんなことは」

「うん?」

彼は、無理矢理に強がった笑顔を見せた。

その余裕は何処から。

「いくら武器を持ち込めたところで、この世界の住人を殺したところで…。この異次元世界までは壊せない。この世界は、俺が持ってきた魔封じの石そのものなんだから」

…。

「…だから?」

「お前は、どうやってもこの世界から出られないんだよ!お前のその貧弱な武器じゃ、魔封じの石によって作られたこの世界は、決して壊せない!」

成程、そう来たか。

それが君の強がりの根拠なんだね。

確かに、その通りだ。

「君の言う通りだよ。私のこの貧弱な武器では、魔封じの石は壊せない」

「そ、そうだろう!ならば結局、お前がここに閉じ込められることに変わりは、」

「…そんなに気に入ってくれた?その石」

「…は?」

ごめんね。

何だか、ぬか喜びさせたみたいで。

「気に入ってもらえたなら、光栄だよ」

「…お前、何を言ってる?」

何を、か…。

まぁ、ここいらで…種明かしをしてあげようか。

どうせ、この世界はあと数分も持たないのだから。

「魔封じの石…別名、賢者の石」

「け…賢者の…石…?」

「そう。魔封じの石っていうのは、単なる俗称だよ」

それに、「魔封じ」と呼んでおけば、使い方が分かりやすいだろう?

君みたいな人が、引っ掛かると思ったんだよ。

だから、この俗称を通すことにしたのだ。

…私が。

「賢者の石はね…私が作ったものなんだよ」





さぁ、今度は。

こちらが、反撃に出る番だ。
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