神殺しのクロノスタシスⅣ
俺とシルナは、一瞬で臨戦態勢を取った。

杖を握り締め、その人物を睨みつけた。

「お前…誰だ?」

「…」

賢者の石の拾った謎の男が、鋭い眼差しでこちらを見た。

『サンクチュアリ』の人間ではない、と直感した。

あの間抜けで腰抜けで浅慮な、『サンクチュアリ』の人間じゃない。

こいつも…俺達と同じ、魔導師か?

いや、それにしては…何処か雰囲気が…。

「答えろよ。誰なんだお前は」

俺は、再度問いかけた。

杖を握って強がってはいるが、状況はあまり良くない。

何せ俺はさっき、異次元世界を突破する為に、かなりの魔力を消費している。

燃料切れが近い状態なのだ。

一度に大量の魔力を失ってしまうと、身体には相当の負担がかかる。

正直、魔力の消耗による疲労もかなり辛い。

戦えないとまでは言わないが、万全の状態とは程遠い。

傍らにシルナがいるとはいえ、異次元世界から帰還したばかりなのは、俺だけじゃない。

シルナも同様に、相当の魔力を消費しているはずなのだ。

やれるか?手負いの俺達で。この見知らぬ男を…。

「…大丈夫だよ、羽久」

「え?」

俺の不安を見透かしたように、シルナは平然として言った。

「何があっても、君は私が守る。だから絶対に大丈夫」

…。

…そうかよ。

まぁ、お前はそういう奴だったな。

じゃあ、俺も安心して…こいつとやり合うか。

「君は誰?『サンクチュアリ』の人じゃないよね?」

シルナが、改めてその男に尋ねた。

「何で賢者の石を持ってるの?君は…」

「…お前達こそ、何者だ」

謎の男が、ようやく口を開いた。
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