神殺しのクロノスタシスⅣ
「お前達の言葉を、そっくりそのまま返す。お前達は誰だ。何故、賢者の石を持っている?」

持っている、って…。

シルナが回収した、賢者の石の欠片のことか?

「それは、お前達が持っていて良いものではない。…返せ」

…返せ、だと?

こいつ、さっきから聞いていればぬけぬけと…。

「…うるせぇ、この野郎」

ふざけやがって。

「こっちの質問に答えろよ。何でお前が賢者の石を持ってるんだ。それは、俺が壊した異次元世界を作っていた賢者の石だろ」

「…」

「だったら俺に返せよ。それから、その赤い水晶玉…じゃなくて、その賢者の石も。お前が持ってて良いものじゃない」

お前の言ったことはな、全部こっちの台詞なんだよ。

何処の誰だか知らないが。

お前が、賢者の石を返しやがれ。

その石は、シルナが…シルナの故郷の人々が作ったものなんだろう?

だったら、シルナが持っているべきだ。

しかし。

「…返さないと言うなら、力ずくででも返してもらおう」

相手は、殺気を滲ませてこちらを睨んだ。

…あぁ、そうかい。

平和的に、賢者の石を引き渡してくれるつもりはないらしい。

なら良いさ、それでも。

こちらも力ずくで出るまでだ。

「wlos nowd」

俺は、謎の男に向かって杖を振った。

俺の得意な時魔法だ。

魔力の消耗は激しいが、それでも得意な魔法なら…と思ったのだ。

これで、敵の動きを封じられる。

その隙に、シルナが敵に肉薄していた。

「rltea oge」

と、シルナもまたお得意の魔法を展開しようとした。

そのとき。

「!?」

「っ、シルナ!」

俺の時魔法によって、敵は動きを抑えられたはずだった。

それなのに、男は普通に動いていた。

普通に動いて、そしてシルナに掌底を食らわせた。

吹っ飛んだシルナを、咄嗟に防御魔法壁で受け止めた。

「大丈夫か!?」

受け身を取っていれば良いが、取っていなかったら間違いなく骨が折れ、

「…いったぁぁ…骨折れるかと思ったぁ…」

大丈夫そうだな。

それよりも。

「どういうことだ?俺は今、確かに…」

魔法を使ったはずだ。

なのに、何故効いていない?

俺の魔力が不足している?いや、そこまで消耗してはいないはずだ。

なら、どうして…。

その答えは、明白だった。

敵の持つ、二つの賢者の石が…光り輝いていた。

…!?

「あれ…どうなってたんだ、シルナ…」

「…賢者の石だ…」

シルナは、のろのろと立ち上がりながら答えた。
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