神殺しのクロノスタシスⅣ
…現在の状況を、一通り説明し終えると。

シュニィはポカーン、何なら他の魔導部隊大隊長達もポカン。

アトラスは真顔で(多分今何も考えてない)、ベリクリーデはきょとんだった(こちらも多分何も考えてない)。

ごめんな、本当。突拍子もない話で。

「…それは、また…大変なことに、なりましたね…」

ようやく絞り出した、シュニィの第一声がこれである。

本当だよ。

泣きたくなってくるよな。馬鹿馬鹿しくて。

畑耕してたら、怪しい棺桶を見つけたので。

それを開いてみたら、メルヘンな白雪姫が眠っていて。

更にそこからクソ生意気な小人が出てきて、「白雪姫を起こすのを手伝って(強制)」と言われ。

今、その手伝いをしている最中なので。

もし出来たら、聖魔騎士団の人達にも手伝ってもらえないかなぁ(命懸けで)。

って、頼みに来てる訳だからな。

こんな疫病神、「お前ら帰れよ」と叩き出されてもおかしくない。

とりあえず、第一声で追い返されなかったことを喜ぼう。

「ごめんな、シュニィ…。本ッ当ごめん…」

「あ、いえ、責めている訳ではなく…」

「我ながら、面の皮が厚いとは思うんだけどさ…。どうしても…誰かの協力が必要なんだ。生徒は巻き込めない」

契約を重複することが出来ない、というのが痛手過ぎる。

イレース、令月、すぐりの三人は、既に契約済み。

あと契約可能な人物は、俺とシルナ、天音、ナジュの四人だけ。

そして残る感情の小人共は、五人いるのである。

最低でも一人は、外部に協力を頼むしかない。

それでも、小人一人につき一人の契約者がつくことが前提。

令月のときみたいに、同時に二人と契約する、なんて言い出したら。

協力者は、一人だけでは済まなくなる。

その点は全部、小人共が勝手に決めることだ。俺達で操作することが出来ない。

つまり、俺達に出来ることと言えば。

お願いしますメルヘン白雪姫退治にご協力お願いします(命懸け)と、頭を下げることだけだ。

なんて恥ずかしい。

が、こうするより他にない。

「落ちてるものを、無闇に拾って開けたらいかんってことだな…」

ジュリスの呟いた一言が、深く、深く心に突き刺さった。

その通りだ。全く。
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