神殺しのクロノスタシスⅣ
「では、これより指輪交換を行います」
誓いの言葉は、何とかクリア。
「まずは新郎から新婦へ、誓いの指輪をお願いします」
次は、これまたロマンチックな結婚式の醍醐味、指輪交換だ。
見てみろ、オレンジ小人の目が、キラキラ輝いている。
この野郎。
俺は、シュニィが運んできてくれた指輪を受け取り。
ベリクリーデの前に跪いて、彼女の左手を手に取った。
ちなみにこの指輪は、ドレスと違って借り物ではない。
急いで買ってきたんだよ。
結婚指輪は貸し借り出来るものじゃないし、サイズも人によるから、借り物ではどうにもならなかった。
安くない出費だったが、生き延びる為だと思えば、背に腹は代えられない。
結婚指輪と言っても色々種類があって、どれにするか迷ったが。
やはりここは王道を攻めようと、シンプルなデザインの、細くて繊細なプラチナの指輪だ。
その指輪を、俺は大人しく手を差し出しているベリクリーデの、左手の薬指にゆっくりと嵌めた。
よし。サイズもぴったり。
この上なく、ロマンチックな結婚式を演出出来ている。
「では、新婦から新郎へ」
次は、俺がベリクリーデから指輪をもらう番。
頼むぞベリクリーデ。「あれー」とか言って指輪を落とすなよ。頼むから。
やりかねないから怖いんだよ。
すると。
「よしっ。ジュリスの指に指輪…」
意気込んで、ベリクリーデが手に取ったのは。
…俺の右手。
違う。逆。そっちじゃない。
指輪は落とさなかったが、左と右の区別がついてない。
俺は素早く右手を下ろし、左手を突き出した。
見なかった振り。
ベリクリーデは、しばしぽやんとしていたが。
「薬指、薬指に嵌めるんだ」
俺がこそっと耳打ちすると、
「うん、分かった」
ベリクリーデは、あろうことか。
俺の中指に、指輪を嵌めようとしていた。
こいつ、何回言っても指の位置を理解しないんだ。
「違う。その横。左だ」
「え、こっち?」
「それは人差し指。お前から見て、左から二番目の指だ」
「あ、これだねー」
懇切丁寧に説明して、ようやく薬指を理解するベリクリーデ。
あれっ…だけシミュレーションしたのに、何も学んでない。
どうなんだ?大丈夫なのか?オレンジ小人は満足してるか?
かなり危ういよな。
誓いの言葉は、何とかクリア。
「まずは新郎から新婦へ、誓いの指輪をお願いします」
次は、これまたロマンチックな結婚式の醍醐味、指輪交換だ。
見てみろ、オレンジ小人の目が、キラキラ輝いている。
この野郎。
俺は、シュニィが運んできてくれた指輪を受け取り。
ベリクリーデの前に跪いて、彼女の左手を手に取った。
ちなみにこの指輪は、ドレスと違って借り物ではない。
急いで買ってきたんだよ。
結婚指輪は貸し借り出来るものじゃないし、サイズも人によるから、借り物ではどうにもならなかった。
安くない出費だったが、生き延びる為だと思えば、背に腹は代えられない。
結婚指輪と言っても色々種類があって、どれにするか迷ったが。
やはりここは王道を攻めようと、シンプルなデザインの、細くて繊細なプラチナの指輪だ。
その指輪を、俺は大人しく手を差し出しているベリクリーデの、左手の薬指にゆっくりと嵌めた。
よし。サイズもぴったり。
この上なく、ロマンチックな結婚式を演出出来ている。
「では、新婦から新郎へ」
次は、俺がベリクリーデから指輪をもらう番。
頼むぞベリクリーデ。「あれー」とか言って指輪を落とすなよ。頼むから。
やりかねないから怖いんだよ。
すると。
「よしっ。ジュリスの指に指輪…」
意気込んで、ベリクリーデが手に取ったのは。
…俺の右手。
違う。逆。そっちじゃない。
指輪は落とさなかったが、左と右の区別がついてない。
俺は素早く右手を下ろし、左手を突き出した。
見なかった振り。
ベリクリーデは、しばしぽやんとしていたが。
「薬指、薬指に嵌めるんだ」
俺がこそっと耳打ちすると、
「うん、分かった」
ベリクリーデは、あろうことか。
俺の中指に、指輪を嵌めようとしていた。
こいつ、何回言っても指の位置を理解しないんだ。
「違う。その横。左だ」
「え、こっち?」
「それは人差し指。お前から見て、左から二番目の指だ」
「あ、これだねー」
懇切丁寧に説明して、ようやく薬指を理解するベリクリーデ。
あれっ…だけシミュレーションしたのに、何も学んでない。
どうなんだ?大丈夫なのか?オレンジ小人は満足してるか?
かなり危ういよな。