神殺しのクロノスタシスⅣ
全額カット…。シルナの菓子代を…来年度から…。

もし実現したら、それは恐ろしいことになりそうだな。

って言うか、来年度から全額カットなのか。

職員室でチラッと聞いたときには、徐々に減らしていくみたいなことを言ってなかったっけ…?

「最初は、段階を踏んで縮小していこうかと思っていましてが…」

あ、ほらやっぱり。

心変わりか?

「何故私が、学院長の菓子代などを毎年捻出しなければならないのかと思うと、非常に腹が立ったので…手っ取り早く、来年度からゼロにします」

本当手っ取り早いな。

要らないものは容赦なく切り捨てる。これぞイレースの流儀。

来年度から菓子代をゼロにされたシルナは、痙攣しているかのようにぶるぶる震えている。

お陀仏だな。

「あとは授業改革ですね。全科目で、現在より課題の量を1.5倍に増やします」

今度は、生徒にとって恐ろしい政策を打ち出した。

今の課題の1.5倍…それは泣くぞ。

そんないきなり増やされたら。

「更に来年度から、授業のコマ数を増やします。土曜日も午後までみっちり授業を行い、かつ平日も七時間目の授業を毎日行います」

しかも、それに加えて課題まで増えるんだろ?

勉強地獄。

これは、ますます生徒が泣く。

「そして夏休み、冬休みを短縮。あるいはそれぞれの長期休暇に、全員参加の短期講習を行います」

夏休みと冬休みまで、授業によって侵食されていく。

「あとは、体育祭だの遠足だのという、魔導学校において不要な学校行事をカット」

バサッ。

「これで、行事にかかっていた費用を浮かせ、授業の質を向上させる為に予算を使うことが出来ます。これによって、更に校内改革に邁進出来ます」

…つまり、イレースの政策って。

現在校内にある娯楽や休息の時間を、ぐっと減らし。

その時間を、全部勉学に回すことによって。

生徒達を、今よりもっと勉強漬けにしよう、と。

恐ろしい政策だ。生徒にとってもそうだが、教師にとっても。

更に、イレースの政策には終わりがない。

「朝の時間や放課後にも、自主的に参加出来る講習形式の授業を開きます。これによって生徒の自主性を育て、隙間時間に勉強するという習慣を身に着けさせます」

朝も勉強、昼も勉強、夜も勉強かよ。

勉強の三拍子。

「そして、各学期ごとに行われる定期テストの他、一ヶ月おきに全科目で小テストを行い、日頃の授業の振り返りをする機会にします」

授業、課題の量が格段に増えたと思ったら。

今度は、テストの回数まで増えていく。

これは恐ろしい勉強地獄だ。
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