陰謀のための結婚

 ふざけたことばかり言う彼にされるがまま、湯のない浴槽に入れられ、シャワーを浴びる。

「ねえ、ヤダ」

「洗ってあげてるんでしょう?」

「違っ。洗うっていう手つきじゃ」

 訴えたくても、声は吐息混じりになり途切れてしまう。

「旅館、露天風呂付きの部屋だったのに、一緒に入れなかったから」

 露天風呂が付いていたとは知らなかった。

「ま、こうなりそうで、入れなかったんだけど」

 彼の口角が妖しく上がる。彼に翻弄され、堪らずしがみつく。そのせいでますます彼の悪戯を許す羽目になっても、もうどうしようもできなかった。

「絶対に香澄を離さない」

 狡猾で獰猛な獣を思わせる眼差しに見つめられたまま、過ぎる刺激に意識を手放していた。
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