陰謀のための結婚

 ひんやりとした感覚がおでこに当たり、目を覚ます。すぐ近くにいた智史さんと目が合った。

「箍が外れに外れた。反省してる」

 しょぼくれた顔でもしてくれれば、まだかわいいものを、しれっとした顔に見えて不貞腐れる。

「でも、香澄ちゃんも楽しんだでしょっていうのが顔に出てます」

「そんなわけ、あるかもね」

 表情を崩す智史さんを今まで聖人君子のような気持ちで見つめていたけれど、実は腹黒いのではないかと訝しむ。

 いや、疑ってというよりも、そうだと確信しているようなものだ。
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