陰謀のための結婚

「さあ、自宅まで送り届けないと」

「どこに送っていくつもりですか?」

「大森の噂のボロアパートでしょう? それとも赤坂の豪邸がいい?」

 赤坂の豪邸。それが三矢の自宅だろう。わざとらしく聞いてくる彼につい本音を漏らす。

「智史さんって、腹黒いって、言われなさそうですね」

 途中まで口にして、腹黒いと言われるほど浅はかじゃないと考え直した。彼が誰にでも腹の内を見せるわけがないと思ったから。

「人に気付かれるようじゃ、腹黒いとは言わないよね。香澄ちゃんには早々に見せちゃったな」

 頬を緩める彼を見て、やっぱり腹黒いと思うのに、胸はキュンと鳴いて困る。
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