陰謀のための結婚

 車で近くまで送り届けられるも、こんな高級車がアパートの前に停まったら、なにを言われるかわからない。

 必死の抵抗の末、近くのコインパーキングに車を停め、アパートの前まで送っていくという折衷案でまとまった。

「自慢したくならない? こんな男捕まえたんだぞって」

 どこか不服そうな智史さんが、よくわからない発言をした。私には理解できない。

「なりません。それは私がすごいわけではありませんし」

「ハハ。世の玉の輿を狙っている女性全員に聞かせてやりたいよ」

 自分も狙われて、酷い目にあったのだろうなと思うと、彼を少しだけ不憫に思った。

 人に冷たいと言われるほど、人を信じられない時期が彼にもあったかもしれない。

「結婚、嫌?」

 唐突な質問に面食らう。

「それとも妊娠が嫌?」

「ヤダな。どうしちゃったんですか?」

 胸の痛みが燻って、上手く笑顔を作れない。
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