陰謀のための結婚

「私はお金がほしいんじゃない」

 子どもの頃に言えなかった抑えていた思いが、決壊して止まらない。

「こんなお金より、私はお母さんと一緒にいたかった」

 わぁーっと子どもみたいに泣く私を、母は手を伸ばして抱き寄せた。なにも言わず抱き締め続ける母のぬくもりは、余計に涙を助長して、涙が止まらなかった。

 目が覚めると夜だった。ここ最近、寝てばかりだ。

 母はまだ起きていて「ご飯食べる?」と、立ち上がった。

「お母さん、腰、大丈夫なの?」

「ええ、コルセットのおかげね。それにリハビリにも通ってるのよ。筋肉をつけて、体の基礎から改善中。手術せずに完治するのが目標よ」

「そっか」

 母は以前のように忙しそうだ。ただ、それは無理をしてというよりも、体を優先しているのがわかる。

「だからね、お母さんの心配はいいから、あなたは智史さんとの結婚を前向きに考えてみたら?」

 まさかの提案に言葉を失う。
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