陰謀のための結婚

「妊娠できない体だと聞いていたのね?」

「ええ、はい」

 医師はなにかを考えているのか、しばらく黙り込んだ。そして私には、思いもよらない考えを口にした。

「極度のストレスと考えるのが妥当かな。妊娠できないと知り、生理は来ないものだと思ったのね。それで本当に来ないなんて、人間の神秘と言うべきかしら」

「ま、待ってください。私の体の構造的に生理は」

「通常なら生理は起こるし、排卵もあるでしょうね。中隔子宮の人は内膜症を起こしやすくて、生理が重い人が多いわね」

 次から次に聞きなれない用語が出て、頭に入っていかない。

 見かねた医師が助言をくれた。

「パニックよね。時間があるときに、また来院して。今日は痛み止めを出しておくから、ゆっくり体を休めて」

「はい。ありがとうございます」

 頭を下げて診察室を出て行こうとする私に、医師は付け加えた。

「手術をすれば、妊娠は可能になる場合が多いから、妊娠を希望しているのなら、考えてみて」

「え、妊娠、できるんですか?」

「手術すれば可能性はあるわ」

 医師はにっこりと私に微笑んだ。
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