陰謀のための結婚

「私もあなたの意見に賛成です。政略結婚は」

「嫌?」

「え?」

 逸らしていた視線を戻し、彼は真っ直ぐに私を見つめた。真剣な表情で向き合う彼の雰囲気に気圧(けお)され、喉を鳴らす。

「もう一度、俺の名を呼んでみて。きみも、俺に惹かれているはずだ」

 どんな自信家だろう。

 そう思うのに、目を逸らせずにいる私は視線を縫い付けられたまま、名を呼ぼうとしても唇が震えて声にならない。

 彼は満足そうに微笑みを携え、一歩ずつゆっくりと私に歩み寄る。金縛りにでもあったように動けない私を、彼は手を引いて自分の腕の中に収めた。

 全身が心臓になったみたいに、鼓動が速まって胸が苦しい。
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