陰謀のための結婚

 トイレから出ると、ダイニングの椅子に腰を下ろし、病院からもらった資料を鞄から出す。

 女性の病気についてのいくつかの冊子。医師が私に該当する部分にマーカーをつけて、『ゆっくりでいいから、調べてみるといいわ』と渡してくれた。

 妊娠できないものと思い、目を背けて生きてきた。婦人科で診断してもらおうともしなかった。

 冊子に書かれている内容を読みながら、スマホも併用して少しでも理解を深めようと何度もページをめくった。

 玄関の開く音がして、顔を上げる。リビングに姿を現した彼が、ダイニングの椅子に座っている私に気がついた。

「おかえりなさい」

「ああ、ただいま。良かった。顔色がよくなってる」

 彼は手にしていた紙袋をテーブルに置き、「昼は食べられそう?」と中から出していく。

「温かいスープとラップサンド」

「なにからなにまで、ありがとうございます」

「いや、俺もジムに行けて、よかったよ。汗をかいてスッキリした」
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