陰謀のための結婚

 彼はテーブルに広げてある資料に目を落とし、「俺も見て大丈夫?」と確認をした。

「えっと、見る前に私の口から、きちんと話したいです」

 私は姿勢を正し、側で立っている智史さんを見上げた。

「それなら、抱き締めさせて」

「え」

 彼の要望に面食らう。甘い雰囲気とはほど遠いはずなのに、彼は私を椅子の隙間に腕を通して抱き寄せる。

「香澄ちゃんのぬくもりを感じながら聞きたい。お腹は温めた方が楽らしい。俺、体温高いから丁度いいと思うし」

「あの、せめてソファ……。いえ、あの素敵なソファを万が一汚したら、私は立ち直れません」

「バスタオルを持ってくるから」

 止めるよりも早く智史さんはバスタオルを取りに行く。バスタオルでは心許ないと思っていたのを察したのか、二枚ソファに掛けた。

 先に遅めの昼食をいただいてからにしようとなり、スープとラップサンドを頬張る。
 根菜とチキンのスープは心まで温かくなった。
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