陰謀のための結婚

「俺と関係を持ったせい?」

「え?」

「俺を受け入れたために、体が妊娠の準備を始めたんじゃないか? 生理は、着床しなかった子宮内膜だそうだから」

「どうして詳しいんですか。生理用品も当たり前に用意されて、ありがたい限りではありますが驚きました」

 今までの戸惑いを素直にぶつけると、彼は視線を逸らして不平を漏らす。

「当たり前なわけないでしょう。焦って調べての繰り返し」

 焦っている表情なんて微塵も見せなかったのに、と感心してしまう。

「生理用品も智史さんが買われたんですか?」

「ほかに誰が?」

「だって、調べたとして、男性が生理用品を買うのは、抵抗があるんじゃ」

 ジッと彼を見つめていると、目を手で覆われて視界を奪われたあと、不貞腐れた声を聞く。

「そんな目で見るなよ。俺が買えば変態じゃなく、彼女か妻想いのいい男っていう図になるから気にならない」

「すごい自信」

「このくらいの自信家じゃないと、香澄ちゃんの相手は務まらないと思うけど?」

 目隠しは外され、口の端を上げた意地悪な智史さんの表情が目に映る。
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