陰謀のための結婚

「それで、あの、どちらに?」

「ああ、行き先は兵庫県」

「兵庫って、あの、関西の?」

「ほかにどこかあった?」

 驚き過ぎたようで、笑われた。

「想像していたよりも、ずっと遠方だったので」

 ちょっと旅行へ。という距離ではない。

「どうしても、新しいホテルの建設予定地にしたい場所でね」

 目を細めた彼は、頭の中で構想するホテルを思い描いているのかもしれない。

城崎(きのさき)温泉というところがあって。元々、曽祖父の代まで城崎温泉で旅館をしていたらしい。そこから出た祖父がまったく違った形のリゾートホテル事業を進めて、今の城崎リゾートになった」

「そうだったんですね。知りませんでした。すみません。不勉強で」

 非礼を詫びると、智史さんは表情を緩めた。
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