陰謀のための結婚

 そう言うと、また眉根を寄せる。やはりなにか悩んでいるようだった。

 日本庭園を眺めたまま、彼はポツリポツリと話し始めた。

「俺たち城崎リゾートの日本料理店夕月で、初めて会ったね」

「はい」

 急に出会いのときの話をされ、面食らっていると、次の彼の言葉でそのわけを理解する。

「どこが違う? 同じ日本庭園だ」

 言われて私も庭に目を向ける。目の前に広がる、小さいけれど静かな迫力がある庭。

「夕月の庭も日本庭園の良さを感じました。ここに比べてというのなら、夕月の方がスタイリッシュでしょうか。あの、上手く言えないんですが」

「スタイリッシュ。洗練されている?」

 ぶつぶつ言いながら、口元に指を添えて、なにかを考え込んでいる。

 私は、庭を見つめる彼の横顔を眺めながら、いつの間にかうたた寝をしていた。
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