陰謀のための結婚

「俺は香澄ちゃんと結婚するつもりで一夜を共にした。信じて身を任せてくれたかもしれないが、昨晩は避妊していない。だからここに、俺の子を宿しているかもしれない」

 お腹に、ふたりの子どもが?

 それは万にひとつも叶わない。

 温かいぬくもりに包まれているのに、悲しくなった。

「無理ですよ」

 全て話してしまおう。そう決意した言葉は彼の強い眼差しに阻まれる。

「わかった。それなら、三ヶ月の間に妊娠しなかったら、きみを諦めよう」

 三ヶ月。期限を区切っても妊娠はできない。

「その間は恋人でいて」

 甘い囁きは、私にとっても大きな誘惑だった。三ヶ月だけでいい。彼の側にいたい。

「わかりました」

 小さく応えると、目の前の彼の顔が破顔した。少年みたいな笑顔に、心が奪われる。

「よかった。絶対に離さないから」

 うれしい言葉のはずなのに、胸の奥が痛かった。
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