甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 さらに2杯、3杯とグラスを重ねるうちに、室長と島内さんは、いつもより大きな声で議論をはじめた。

 島内さん、結構お酒に弱いんだ。
 ちょっと呂律がまわってない。

 これも意外なことのひとつ。
 勝手に底なしだと思い込んでいた。

 この1週間で、わたしのなかの島内さんはどんどんアップデートされていった。
 結局わたし、彼のこと、なんにも知らなかったんだ。

 そんなことを考えながら、ぼんやりふたりを眺めていたら、多田さんが小声で話しかけてきた。

「えっ?」
 聞こえづらかったので、わたしは少し多田さんのほうに顔を寄せた。
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