甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 スマホ、メモ帳、ポーチ、弁当箱……

 こんなところに座ってないで、早く立ちあがって、荷物を拾わないと……
 そう思うのだけれど、金縛りにあったように身体が動かない。
 指を動かすことすら億劫で……少しの間、そのまま道にへたり込んでいた。

 バッグの中身をぶちまけたまま、呆けたように座っているわたしを、道行く人は見てはいけないもののようにちらっと一瞥をくれて去っていく。

 どうせ声をかけてくれる人なんて、いない……
 いいようのない孤独感に打ちのめされそうになったとき、小走りに駆け寄ってくる足音が聞こえた。
 
「大丈夫? どこか怪我した?」

 知っている声だった。


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