愛のアンフォルメル

ゆっくりと頂点をこねくり回される。
時折、鋭い快楽が私の背中を抜けていく。

菫さんの腕にしがみついて、私は彼を見上げた。

いつの間にか、菫さん自身の上半身も裸になっていて、艶めく汗が花火の光を反射させていた。

「凛ちゃん、好きだよ」

あぁ、なんて軽薄な愛の告白だろう。
でも、それが菫さんだった。

「ずっとずっと、好きだったんだよ」

彼は私の欲しい言葉をくれる。
そして、そのまま彼の大きなそれが私を貫いた。

彼の熱を体内に感じ、私は至福と快楽でぐちゃぐちゃにされる。

「っんんん!」

菫さんの背中に腕を回して、抱き着く。
求めていた彼の全てがそこにはあった。

「好きだよ」

何度も何度も耳打ちされて、でもそれはどこか空虚で。

――――幸せだった。
それはもう確実に。

そして、同じだけ満たされない気持ちでもあった。

夜が更けていく。
最後の花火の連弾を聞きながら、私は意識を手放した。


目が覚めた時、菫さんの姿は消えていた。
そして、翌日には既にヨーロッパに戻ったと理玖に聞かされた。

あぁ、そうか。
私はまた、彼に置いて行かれたのだ。

「ふふ、呆れた……どうしてこうも、毎度騙されてしまうんだろう」

菫さんの告白をほんの少しでも信じてしまった自分を自嘲した。

そういえば、あの日も夏祭りだったっけ――――。
憎たらしいくらいに真っ白な入道雲を見上げながら、そんなことを思った。
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