黒曜の戦場


「目に見えて壊れるの待ってたら原稿がガタガタになる、やめろ」

「そうなんですか」

「ペン先はガチャみたいなもんで、すぐ使えなくなるやつもあればくっそ長持ちするやつもある。メーカーによっても変わるし、ペン先の種類にもよる」

「ペン先の奥が深すぎて、ちょっと初心者には難しいです」



鉛筆や筆のことならまだわかるけど、付けペンは初挑戦だからなぁ。

まだまだ経験値が足りない。



でもやっぱり、新しい画材の使い方を教えて貰えることって楽しい!!

線一本引くのに技術だけじゃなくて、道具の使いやすさも考えないと綺麗に仕上がらないのね。

そりゃあ下の不良さんたちもなかなか使えないわけだね。



いくら勇者様でも初期装備のままじゃ、魔王を倒せになんて行けないもんね……。



「使えなくなるのはカッターも同じだ、切れはしても削りにくくなっていくからすぐ変えろ」

「漫画ってめっちゃ道具の消耗するんですね」

「人によるし、見た目じゃわからないから書き味と感覚頼りですぐ捨てるからな」



そう言って定規を返してくれるいおりさんが、私を見てふっと笑う。



「マジでお前逃げねェのな」

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