黒曜の戦場
「……りんちゃ……いだだだだだ後頭部えぐれる掴まないでっ!!!」
「未夜以外にそれ呼ばれんのクソ腹立つ」
「りんりんりんりんやめりんりん!!」
「くそ腹立つ」
これ絶対黒曜の上から三番目の人に対しての扱いじゃないよね!!?
「一回でいい」
「リンくんっ」
「なに」
「……リンくん意外と優しい」
不思議だなぁ、これまで一番距離を感じていた気がするのに。
名前の呼び方変えただけで、なんか……話しやすくなったような気がする。
すりっと、その手が首を一度擦る。
くすぐったくてぴくっと肩を少し竦めた。
「未夜のお気に入りだから、しかたなく」
和らいだ雰囲気に、私もわがまま言っていいかなぁ?と、この期に便乗してみた。
「琥珀も、名前呼ばれたい」
「は?」
「琥珀ちゃんです!」
「は?」
思えば、この人が琥珀のことを名前で呼んだことがあっただろうか。
いや、ない!たぶん!!(あやふやな記憶)
首に当てられた手がピクリと動く。
『嫌だ』とは言われていないなら、きっと迷ってるんじゃないだろうか。
これ、もしや押したらいけるんじゃね?